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いまにみるだろう

白昼堂々と描かれた、まるで植物が眠りのあいだ見ている夢、ミニアチュールそこが[Kenjuの庭]である

いままさにそこで処女受胎する花弁、その長い腹をダ円状の長い腹の中を、遣いずるあのあの蝸牛はいまだ発掘されずにいるアシモニアの様、Kenjuの絵にはどこか石化された一瞬間のみにある無垢性、その決意めいた瞬発の凝固を感じる、仮にそれが瞬時に溶解剤より遊離せしめたとて同じこと、腐葉土はさらなる養化を肥やすだけであり

“芽は未開の状態に在る”と言えよう

庭における植物への太陽の作用性、すなわち熱および火により地の湿った暗いものを温め暖解し、草木含むすべてを光の中に一度は栄枯せしめはするもしかるに火の暴性によりそれらを焼却し尽くすのごとくが庭であろう                    

                                                                                        池谷 竜

作家略歴

1975 大阪天王寺区で出生

2002 木炭画選『植物考-botanique de Hino-』(書肆啓祐堂刊)

2003 詩画集『受粉告知-フローラル・ファンタスティカ-』(上記同社刊)

2004 個展出版記念『フローラル・ ファンタスティカ』展(書肆啓祐堂ギャラリー)

2005 個展『美しき記憶の鍵束』展(上記同ギャラリー)

    装画挿画ジャン・ジュネ詩篇『愛の唄』(松本完治訳、エディション・イレーヌ刊)

2006 巡回個展 出版記念『牧歌への兆し』展(江寿画廊、銀座スパンアートギャラリー)

    個展『考古学の庭』展(書肆啓祐堂ギャラリー)

2008 個展『母へそして弟へ』展(上記同ギャラリー)

2009 企画展『アリス百花幻想』展に出品(銀座スパンアートギャラリー)

    企画展『インディペンデント・プレスの展開』展に出品(ポスターハリスギャラリー)

2011 企画展『eros/thanatos 生と死の幻想』展に出品(渋谷Bunkamaraギャラリー)

2019 装画挿画 ジャン・コクトー音楽論『雄鶏とアルルカン』(デザイン・エッグ社刊)

    個展出版記念『雄鶏とアルルカン』展(書肆吉成GATEギャラリー)

2021 装画挿絵 ポール・エリュアール詩選集『愛の紋章』(デザイン・エッグ社刊)

    装画挿絵 『棚夏針手全集』(上記同社刊)

    装画『山田一彦全集』(上記同社刊)

2024 日乃ケンジュ初期画集『フローラル・ファンタスティカ』(古書午睡書架)

    個展出版記念『フローラル・ ファンタスティカ』展(午睡書架ギャラリー)